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ノンフィクション:歴史
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ノンフィクション:歴史
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言葉を育てる―米原万里対談集 (ちくま文庫 (よ21-2))


米原万里
¥ 777 通常24時間以内に送
★★★★★

言葉を育てる―米原万里対談...
仕事柄、インタビューやレポートを書くことが多い私は、自分のことをある意味「通訳」だと思ってきました。 そんな私にとってこの本は「よくぞ言ってくださった!」という言葉満載。 ページをめくるごとに、自分の中でこれほどまでに価値が上がっていった本は初めてです。 と同時に、自分がいかに、見えない蓋に覆われているか、自由な発想ができずにいるかを痛感した本でもありました。 この対談集をまとめてくださって、本当にありがとうございました。 米原万里さん亡き今、その声を、発言をリアルに楽しめる本だと思います。 手元にいつでも置いて、何度も何度も読み返したい本です。面白いです。 プラハの学校時代の話、その影響、 通訳者としての仕事、その心構え。 「絞め殺したくなる」といった表現すら、愉快な感じがします。 本当に、貴重な方を亡くした、社会的な損失だと改めて思いました。 残念です。もっといろいろな本を書いて、遺して欲しかったです。

嘘つきアーニャの真っ赤な真実 (角川文庫)


米原万里
¥ 580 通常24時間以内に発送
★★★★★

嘘つきアーニャの真っ赤な真...
米原万里さんの貴重な体験、経験をもとに、日本人にとっては、 苦手な多民族、人種の理解の一助となる貴重な一冊である。 東欧の共産主義社会で生活したというだけでも、日本人にとって は、貴重な経験であるが、その東欧プラハのソビエト学校で学んだ 友人たちの、その後の話が軸である。 亡命ギリシア人、ユダヤ系ルーマニア人、セルビア系ユーゴスラビア人 それぞれの、その後の人生は数奇であるが、ユダヤ人や、ユーゴスラビア の々を理解する上でも貴重な体験集でもある。各話のタイトルが青赤白のロシア国旗の色になっている。物語としても十分興味深く読めるが、社会主義体制論としてもとても秀逸である。勉強になりました。リッツァ、アーニャ、そしてとくにヤースナ、彼女たちはぶじに生活できているのだろうか……と思い、ふと著者がすでに亡くなられていることが改めて意識され、むしょうに悲しくなった。ソビエト学校に通っていた同級生に米原さんがその当時の回想を交えながら書いたエッセイ。 エッセイと言っても小説の様にドラマチックで米原さんの文章の上手さも際立っている本でした。 何故、アーニャが嘘をつかなければならなかったか...

魔女の1ダース―正義と常識に冷や水を浴びせる13章 (新潮文庫)


米原万里
¥ 500 通常24時間以内に発送
★★★★

魔女の1ダース―正義と常識...
米原万里の様々な媒体での原稿をまとめた書籍も中々楽しめるが、本書は書籍としての完成度が高い。編集者と著者の意気込みと計性が感じられる完成度である。単行本となることを見据えて、活字作品を作り上げる、活字媒体に対する尊敬と愛を感じる。全編の記述とスピードに統一感のあるものとなっている。 本書によって、米原万里の学識と見聞の深さと広さを、今文庫本で手に出来る幸せを噛み締めた。 米原万里の手により正義と常識の儚さと薄っぺらさが、次々と暴かれる。お見事である。自分が常識と思っていることはけっして「絶対」ではない。文化が違えば常識も変わる。 頭では分かっている事実だが、庶民である我々はなかなか実体験する機会がない。そこで、この本。幼少の頃から異文化と交流する環境に身を置いてきた米原さんが、異文化交流の中で育まれたユーモアもタップリ交えて、実体験を基にした「えっ!」というエピソードの数々を語ってくれる。 こんなにアカデミックな人なのに、下ネタ多めなのも好感が持てます。この作者の魅力が満載されたエッセ−集です。 下ネタを含んだ小咄を含んでおり、思わずニヤッとしてしまう部分もあるのですが、...

犠牲(サクリファイス)―わが息子・脳死の11日 (文春文庫)


柳田邦男
¥ 540 通常24時間以内に発送
★★★★★

犠牲(サクリファイス)―わ...
今の医療業界のマンパワーでは難しいことかもしれませんが、患者の死が三人称の死ではなく、二人称の死であるべきだという理想を抱かせてもらいました。 死への物語作りというのは様々な人の協力の下にしかできないと思うので、医療業界の人材不足が解消されることを期待します。自殺者の数は年間3万人。その3万人の一人ひとりの人生は それは壮絶で悲しみに満ちたものだろうと思う。 その一人の姿をいやと言うほど見ることが出来る。 救おうとして助けられなかった者の慟哭も。 氏はこの本を書くとき、編集の静止も聞かず、どんどんとページを増やし 書き連ねてしまったと言う。書かずにはいられなかったのだろう。 何が原因か、誰が悪か、そんなことどうでもいい。 今まさに死のうとしている人が居る。どうすればその絶望から救うことが できるのか。 自殺など遠い話しのことと思っている人ほど読んで欲しい。典型的なアダルトチルドレンをもった親子の悲劇とは一蹴できない。親の過保護という視点で本書を批評する視点を著者自らが乗り越えようとしたプロセスがそのまま描かれているといった印象をうけた。本書でも著者自身もそのようにいっているが、著者の...

真夜中の太陽 (中公文庫)


米原万里
¥ 620 通常24時間以内に発送
★★★★

真夜中の太陽 (中公文庫)
筆者の、舌鋒鋭くすべての日本を斬って捨てる勢いは小気味良さを感じないでもないが、このように、(主に)ヨーロッパに在る対象は絶対化し、日本のみをただひたすら攻撃するという姿勢には、ユーモアやウイットのかけらも感じられず、ただの告発ものに堕してしまっており、品格とまでは言わないが余りにも品が無さ過ぎ、最後まで読む気が萎えてしまう。日本の全てがヨーロッパと同じレベルでなければならない理由は無く、そもそもヨーロッパ自体、その内部にはいろいろ「格差」はあるのではないか?第3者が言う「格差」も、れをさほどにそれと感じないのも「文化」であり、それはそれなりに認められるべきかと考える。 本の題名になっている「真夜中の太陽」とはチェコで暮らしていた少女時代に出かけたキャンプで先生が読んでくれた詩の一説。 真昼にも空に星は輝いているけど太陽の輝きで見ることが出来ない、現実には存在するけど、見ることができないものがこの世の中にはたくさんあるという意である。 この本では、我々が常識だと思っていたことを、筆者が視点を変えて論じている、「美」「豊かな生活」「幸せ」「教育」様々なテーマを見る作者の慧眼や提案の...

サンダカン八番娼館 新装版 (文春文庫 や 4-8)


山崎朋子
¥ 750 通常24時間以内に発送

サンダカン八番娼館 新装版...
・・・

エリカ 奇跡のいのち


ルース・バンダージー ロベルトインノチェンティ
¥ 1,575 通常24時間以内に発送
★★★★★

エリカ 奇跡のいのち
冒頭の「イスラエルのエルサレムへ一度行ってみたい」という エリカのせりふから、もう気持ちがすーっと醒める気がします。 パレスチナでイスラエルのユダヤ人たちの行っていることを知ると 残念ながらこの本ですら、気持ちが入っていきません。 虐待された人は虐待するものだ、という 発達心理学の学説は正しいのでしょうか。 ユダヤ人たちは自分たちの歴史から何を学んでしまったのか… 人を信じる、愛する心ではなく 人を疑い、防衛力をたかめ、 人を踏みつけにしても自分を守る…なのでしょうか。 エリカさんを拾った方こそ気高い。今まで、数多くの収容所を扱った本や映画(フィクション、ノンフィクション)を目にしてきたが、この絵本の特色は、そのリアリティを伝える、揺るぎない「絵」にあると思う。そこには、捕虜を隔離する「木の柵の節」や捕虜達を運んだ貨物車の側面にある「剥がされた張り紙の跡」までもが克明に描かれている。そして、古ぼけた写真よりも、また、すぐに変化してしまうような映像よりも、それらの絵のほうがはるかに切実に現実感をもって迫ってくるのである。それを受け止めることのできる我々が読むのには何ら問題ないが、子...

真昼の星空 (中公文庫)


米原万里
¥ 620 通常24時間以内に発送
★★★★

真昼の星空 (中公文庫)
北風と太陽の、両方の視点から捉えてみたときの事象の見え方に、うならせられることがたくさんありました。 本筋とは別ですが、微妙にむじゃむじゃの今の大統領に、笑ってしまいました…。 1998年から2001年まで読売新聞の日曜版に連載していたもの。タイトルには、実際には存在しているのに目には見えないものを、見せてやりたい、という意味が込められている。そのタイトルどおり、世間一般とはちょっと違う視点から世の諸相を取り上げ、物事の別の側面を教えてくれるエッセイとなっている。 しかしながら、連載の後半のほうでは息切れしたのか「それで?」といいたくなるような内容のものもチラホラ。限られた狭い紙幅での文章表現ということで、難しい部分もあったのかもしれない。米原万理が本領を発揮するのは、やはり腰を据えて長い文章を書いたときという気がする。 巻末に小森陽一らの文章が載っていて、思わぬおまけ。 同じ中公文庫から出ている「真夜中の太陽」では、真面目な意見が多く、著者の魅力を発揮しきれなかった。しかしこの本では皮肉や矛盾、比喩が上質で、とても面白く読めた。最初は通勤の電車の中で読み始めたのですが、ひとつひとつ...

「死の医学」への序章 (新潮文庫)


柳田邦男
¥ 540 通常24時間以内に発送
★★★★★

「死の医学」への序章 (新...
これはドキュメンタリーである。ひたひたとおしよせてくる「死」の恐怖が、どれだけ神経を蝕んでいくのかが、克明に記されている。どれだけの人間が死に直面し、その時においてどれだけのものを残る人間たちに置いていったのか、それは著者の柳田氏の温かい人間性と冷静な視線とで筆舌に尽きる。これを読むことによって、「」という誰もがもつ、逃れることのできない共通の恐怖と、誰しもが捜し求める「生きるとは何か」を読み取るには充分な作品である。ここに挙げられた「生と死の真実」は、人生において一度は読んでおくべきものだろう。著者自身のことにも中では語られているが、著者自身を最も書いたものとしては、「犠牲(サクリファイス)」がぜひ必読であろう。死は、いつの世も誰にも、まるで懐かしい旧い友人が訪れるように不意にやって来る、この全宇宙の織り成す大自然の営みの中で、まるで人間と言う生物だけが傲慢不遜に振る舞い、未来永劫の繁栄の下、人間だけが永遠の生命のサイクルを維持し続けるような錯覚に陥っている現代人に改めて死生観を問いかける、まさに死への序章への手引書である この本は、私が既にレビューを書いた「輝け命の日々よ」(NH...

三陸海岸大津波 (文春文庫)


吉村昭
¥ 460 通常24時間以内に発送
★★★★★

三陸海岸大津波 (文春文庫)
昨年、友人と三陸を旅した。本来の目的は「宮古湾新選組ツアー」だったのだが、宿を「グリーンピア田老」にとった。 田老駅から宿までの間、「津波時避難路」という大きな看板と矢印が目につき、海岸沿いでもないのに堤防があったりする。ふと大昔に読んですっかり忘れていた、この作品の題名が頭に浮かんだ。あれってここが舞台なのか。地元のタクシーの運転手さんは、元来無口なのか謙虚なのか、尋ねても「はい」とか「ええ」とかいう返事しか返ってこなかったけれど。 実際に有効なのかどうかはともかく、堤防や避難路看板など、昔の出来事の記憶が今の行政にも確実に受け継がれているのを見るのは、失礼を承知で言えば、とても興味深かった。日程がゆったりしていたら役場で話を聞きたかった。 これを読んだ後に三陸を訪れる方、通り過ぎるだけでも実感できて、いいですよ。 古来、村の古老の教えに間違いは無いと言われてきた。長年の経験に基づく智恵は頼りになると信じられてきた。 しかし、この本を読むとそれが偽りであることがわかる。「津波は冬の晴れた日は来ない」との古老の言葉を信じて死んでいった数万人の人々、その他諸々の言い伝えに騙...

ヒトのオスは飼わないの? (文春文庫)


米原万里
¥ 650 通常24時間以内に発送
★★★★★

ヒトのオスは飼わないの? ...
家に先に住んでいるネコは新しいネコやイヌが来ると荒れるとか、知らなかったな。あと、失踪してしまったイヌを探している最中に、交通事故に遭ったんじゃないかと清掃局に尋ねると、クルマに撥ねられるのはほとんどネコで、イヌは相当耄碌したヤツじゃないと牽かれないみたいな話や(p.344)、それよりも悲惨なのは動物実験用に捕獲されてしまうこと、みたいな話も(p.352)。飼い主不明の犬は、以前は大学や製薬会社の実験用に回されていたそうですが、動物愛護団体の圧力でそれが不可能になり、結局、ホームレスなどによる野犬狩りならぬ迷子犬狩りが、そうした需要を満たしているとか。野良犬は警戒心が強いけど、飼い犬は人なつっこいので、すぐに捕まえられるそうです。しかし、人間社会というのは、生物と同じで、必ず抜け穴というか基本的な欲求を満たす場所を見つけるもんなのですね。 途中で幻想的なフィクションに流れていくような話もあって、『オリガ・モリソヴナの反語法』みたいな小説を書く才能の片鱗をみせてくれます。1950年生まれの米原さんがこの5月になくなるなんて、本当にショックでした。 徹子の部屋に出演されているのもみ...

戦国武将事典 乱世を生きた830人 (Truth In History13) (Truth In History 13)


吉田龍司 相川司 川口素生 清水昇
¥ 1,995 通常24時間以内に発送
★★★★

戦国武将事典 乱世を生きた...
この手の本では「あの武将が載っていない」ということがあるのは仕方がありませんが本書では「戦国時代」の期間についての定義と「戦国武将」の定義が明確でないため他の類似本以上に一部の収録武将について疑問が残ったままになってしまいます。時代的には北条早雲から天草四郎までなのですが戦国武将とは言えない荒木又右衛門や天草四郎が収録されているのに、太田道灌が収録されていなかったりします。また、本書は実在の人物を収録すべきはずがなぜか真田十勇士(しかも中途半端に6名)のような架空の人物まで収録されています。確かにモデルとなった実在の人物がいるかもしれませんが、それよりは真田一門の矢沢親子を収録すべきでしょう。 本書の良いところとして各武将の居城が記載されていることと最後の部分に代表的な城の城主変遷データと収録武将が年齢順に並んだ索引があることです。本のタイトル通りの1冊です。戦国期に活躍した大名やその家臣たちの略歴がコンパクトにまとまっています。あくまで事典なので、深く掘り下げた話は載ってないのですが、比較的マイナーな武将までちゃんと載ってたりするので、これ1冊あればだいたいの武将の半生は分かると思...

『犠牲(サクリファイス)』への手紙 (文春文庫)


柳田邦男
¥ 530 通常3〜4日以内に発送
★★★★★

『犠牲(サクリファイス)』...
対談集あり、インタビューあり、「サクリファイス」発表のその後がさまざまな観点から 語られる、内容の濃い一冊。河合隼雄の「人間一人の人生は、その長短にかかわらず 壮絶だ」という言葉は、真理に近いものを感じる。 読者からの手紙も胸を打つ。10年間息子の死を病死だと偽り続けた母、罪悪感に悩み続ける 家族たち。それは世間の自殺への偏見と無知から来ているのだろうが、あまりにもむごい。 むしろ日本は死に対してあまりにも粗雑だ。 いい本である。自死遺族やその周辺の方に読んでいただきたい。自死について実践的に考える 初端とないい本です。この著者の本はすでに何冊も読みあさり、がん体験者として、緻密な調査にも関わらず、やはり、外から見た医学、患者像に少なからず落胆をしていた。しかし、この事実には衝撃を受けた。こうした不幸がいつでも、誰にもある現実の厳しさに驚く。それにしても、この苦しい自らの体験を生涯最高の筆致で書いたのが、この本ではないだろうか。彼の客観性といい、文章の切れといい、これは本著者の最高傑作だと思う。

みんな山が大好きだった


山際淳司
¥ 780 通常24時間以内に発送
★★★★

みんな山が大好きだった
1983年にKKベストセラーズから出た『山男たちの死に方−雪煙の彼方に何があるか』の改題・文庫化。 登山家は山で死ぬことが多い。しかし、それは「幸福な死」なのだという主張のもとに書かれたノンフィクション。 取り上げられているのは、加藤保夫、森田勝、長谷川恒男、ロジェ・デュプラ、ヘルマン・ブールなど。みんな、山で死んでいる。 彼らの遭難の様子を描きつつ、山の魅力が示される。まあ、それは正しいのだろうと思う。しかし、どこか山や登山家について誤解しているような気がしてならない。読んでいて違和感が消えないのである。 文章が投げっぱなしで、結局、何を訴えたいのかハッキリしないのも欠点。 本書刊行の直前に山際氏は亡くなっており、夫人の犬塚幸子さんによる「山際さん、ありがとう」が併録されている。ほのぼのした題名とは裏腹に、内容は過激そのものです。 この作品では登山家=孤独と向き合う者たち、という位置づけで描いており、「孤独を恐れて いては何も成せない」と断定し、孤独を恐れて仲間とつるむ若者たち(と言っても20年以上 前の若者に対して、ですが、現在にも当てはまる部分は多い)を「生きながら...

他諺の空似 ことわざ人類学


米原万里
¥ 1,470 通常24時間以内に発送
★★★★

他諺の空似 ことわざ人...
米原さんの滅法鋭く、世間の重箱の隅からアメリカ大統領まで、ぶった切る目線はそこいらの、○○大学教授よりは理屈抜きに納得する。 それに加え、ことわざ人類学と銘うっているだけあって、日本のありふれた諺と世界に広がる同じ類の諺を対比し、毒舌の裏返しとして知性も感じさせれる逸品。例えが所々「おやじ」向きの内容になっているのは、ご愛嬌。 しかし、いかんせん元々は「小説宝石」の連載、とはいっても内容は単発のエッセイなので、一冊の本にしてまとめると、同じ話題が幾度か出てくる。連載当時はそれで「面白い!」って事になったのだろうが、こうやって、まとめられてしまうと、少々うんざりしてしまう。 これは著者ではなく、出版社に責があると思う。 雑学にはもってこいの本です。米原さんが亡くなってから、すごい勢いで未出版の作品が出版される。 おそらく存命中以上の作品が死後出版されるのではないか、という勢いである。それ程愛された作家であった。 米原さんを敬愛する者としては非常に嬉しい、と同時にこれを読んだら最後になってしまうのではないかという不安から、読むのを躊躇(読んでしまうのがもったいない)する事も多い。...

大本営が震えた日 (新潮文庫)


吉村昭
¥ 620 通常24時間以内に発送
★★★★

大本営が震えた日 (新潮文...
私が中学生だった頃、あの戦争に関して教えられた事といえば、日本は周辺国の 侵略を企て、近隣諸国の多くの人々を殺め、苦しめた「悪」であった、その元凶は 暴走した軍部であり、その罪はどの様に償っても償いきれないものだ。日本人は過 去の罪を認識し永遠に忘れてはならない。といったところでしょうか。それ以外 戦争について教師たちは言葉にするのも汚らわしいとばかりに多くを語りませんでした。 そんな学校教育から開放されて、それと同じくらいの月日が経過しました。 最近あの戦争は何だったのか?という疑問をやっと感じるようになることができる ようになりました。中学校当時読んだだけで自分が穢れてしまうのではないかとい う呪縛から開放されたような気がします。幸い日本は戦後の貴重な検証が数百円の 文庫本でそれに触れることができる先進的な文化を有する国でした。 本作は、昭和16年12月1日皇居内東一のまで開かれた御前会議において、12月8日 対英米蘭開戦の断を天皇が下してから先端を開くに至るまでの1週間、陸空海軍第 一線部隊の極秘行動のすべてを、事実に基づいて再現してみせた作品です。作者の 目は静かで...

ルーキー (角川文庫)


山際淳司
¥ 620¥ 1¥ 615
★★★★

ルーキー (角川文庫)
清原選手の野球人生の物語であるが、清原選手とかかわった人物……PL学園時代のチームメイトやライバル、西武ライオンズと対決した投手など……にスポットを当てることで、清原選手を浮き彫りにしている。とても面白い企画の本。純粋に野球ファンの人間からすると、文学的に(?)情景を描写する部分が長いので、やや退屈するきらいがある。清原もとうとう2000本安打で名選手の仲間入りですが、入団頃の騒がれ方(ONを超える、とか)を覚えている世代から見たら複雑です。この「ルーキー」もその一つの現れで、西武の新人だった清原1人に取材した本。落合との対談もあります。笑わせるのがその中で落合に「お前はデッドボールぶつけられ投手をにらみ返す場面が多い。あれはやめて、もっとどっしり構えろ」といわれて「これからは笑顔でかえすぐらいにします」など宣言しているところです。大爆笑。2000安打してタイトルを1つもとってない選手が彼の他に5人もいたのですが、みなアベレージヒッターばかり(大洋から巨人の松原とか「え、とってなかったの?」というより「え、2000本も打ってたの?」というような地味な選手ばかりでホームランバッターとし...

マッハの恐怖 (新潮文庫)


柳田邦男
¥ 820¥ 210
★★★★★

マッハの恐怖 (新潮文庫)
大事故・大災害の詳細な原因分析とその対策を論じた優れたドキュメンタリーを数多く発表している柳田氏の原点とも言える作品。昭和41年に起きた羽田沖のボーイング727の墜落事故を扱っている。柳田氏は記者として本事件に係ったようで、"事実"を伝えるための使命感がヒシヒシと伝わって来る。 こうした巨大システムの事故原因の究明は困難さと共に予断を伴う。事故調査団(長)は当初、"幾つかの"事実と仮定に基づいて、パイロットの操作ミス説を示唆していた。しかし、著者は膨大な資料から、事故に係る事実を漏れなく抽出する事によって真相に迫ろうとする。著者の気概が伝わる。事故機や現場状況の豊富な図・写真を載せているのも読者の理解を助ける。本事故の参考として同時期に起きた、BOAC機の富士山麓墜落事故の調査模様が時系列に整理されて語られる。富士山近辺の乱気流が原因と言う技術的分析より、フライト・プランになかったコースを選んだ機長の心理分析が印象に残る。もう一件、カナダ機の羽田着陸失敗事故が採り上げられる。当初はこの事故もパイロットの操作ミス説が有力だった。結果もその通りなのだが、気象条件によりベテラン・パイロッ...

東京の戦争 (ちくま文庫)


吉村昭
¥ 525 通常24時間以内に発送
★★★★★

東京の戦争 (ちくま文庫)
作家というのは事実でも自分の解釈で描いていくものである。 しかし、吉村さんというのは作家でありながら、新聞記者やルポライターよりも誠実に事実を追及し、そこに人間性を見出しドラマを描いた方であった。 さまざまな戦争物がある。 今、戦後60年以上たち、沖縄戦における軍の介入の真偽が問われたり、戦争に対するさまざまな解釈や見解が出てきている。 あの戦争を振り返る一冊として、ためらう事なくこの一冊を読んだ。 そこに描かれているのは、空襲で家を失い、その後家族を亡くした吉村少年の体験記である。 お涙頂戴はない、アメリカの爆撃機がどのように街に近づき、破壊し、戦後どのように人々が生きたかを実に清廉、簡潔明瞭な文章で書いている。 ドラマ性を求めず、事実を淡々と描いているだけであるが、悲しくもあり、当時の生活をそのまま疑似体験できるような筆致であった。そして戦争を考える上で非常に貴重な一冊である。 吉村さんがこの本を書いてくれた事を感謝したい。戦争と言う言葉からイメージしがちなのは戦闘シーンで、それが戦争の一面であることは確かだとしても、一方では一般の人々が戦時下なりの日常生活を営んでいたのである。...

空白の天気図 (新潮文庫 や 8-1)


柳田邦男
¥ 660¥ 603
★★★★★

空白の天気図 (新潮文庫 ...
ノンフィクションの価値は切り口で左右されるといえるが,本書が持つ切り口ほど鮮やかなものはなかなか見当たらない.通常,広島-原爆とくれば情緒的に悲惨を語り,反戦平和を煽るものになりがちだが,本書では「理系の職場」である天文台を通して,あくまでも理知的な語り口で(科学的技術的観点を中心にして)原爆投下当時の広島の状況を叙述するという,敢えて言えば奇想天外な方法を採っている.それでいてそこには明示的ではなくとも確固とした人間の物語も描かれている.これは自分のようなテクノロジー系の人間に平和の尊さを語るには非常に説得力がある方法ではないだろうか.それにしても,「ガン回廊の朝」でもそうだが,実際に聞いたことがあるはずも無い会話を創作・再構成する柳田邦男の技量はたいしたものだと思う. 本当に、この本はいかなる困難な状態にあっても、それに負けずに職務を全うすることの素晴らしさを教えてくれる。特にこの本に書かれていた広島気象台では、1945年に原爆、そしてそのわずか1ヶ月後に歴史的な被害をもたらした枕崎台風の直撃を受けたため、気象観測をする仕事そのものが困難になっていたにも関わらず、気象団員達が何と...